肌のUVケアは念入りにしていても、意外とおざなりにしがちな髪の対策。夏の強い紫外線にさらされた髪や頭皮は肌以上にダメージが大きく、パサつきやうねり、頭皮の老化が引き起こされます。今回は毛髪診断士の齊藤あきさんに、髪と頭皮を紫外線から守る方法や、ダメージを受けた髪を回復させる美髪ケアについてうかがいました!

- Profile
- 齊藤 あきさん
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パーソナルビューティープロデューサー、毛髪診断士。美肌・美髪サロン「ティナロッサ」、(一社)日本美髪協会代表。東洋と西洋を融合した豊富な知識と審美眼を持ち、美肌・美髪のスペシャリストとして活動、向き合ってきた肌や髪は5万人以上にのぼる。近年はメディア出演やセミナー講師などにも活躍の場を広げている。監修書籍に『50代からの髪がみるみるよみがえる! 美髪ケア大全』(主婦の友社)。
髪と頭皮が受ける
ダメージ
ヒリヒリしたり、赤くほてったりする肌とは違い、髪は紫外線の影響をすぐには感じづらいもの。けれども、無防備な髪や頭皮に蓄積したダメージは、さまざまなヘアトラブルを引き起こしやすくなり、パサついた老け髪の原因になります。

キューティクルの損傷
紫外線を浴びると、外部刺激から髪を守っているキューティクルがはがれやすくなります。その結果、髪内部のケラチン(タンパク質)線維がダメージを受け、水分や油分も外に流れ出てしまい、パサつきや切れ毛の原因に。また、髪内部でタンパク質をつなぎとめているシスチン(S-S)結合が乱れ、うねりが発生しやすくなります。
頭皮の弾力低下
紫外線の中でもっとも波長が長いUV-Aは、曇りの日も降り注いでおり、ガラスを透過して室内にも届きます。無防備でいると、皮膚の弾力を支える真皮層にダメージが蓄積して、髪の土台である頭皮の柔軟性が失われていきます。硬い頭皮は、髪のハリ・コシの低下や、抜け毛の増加につながるだけでなく、地続きである顔の皮膚がたるみを引き起こすリスクも。
毛穴が詰まりやすくなる
頭皮には、皮脂を分泌する皮脂腺が密集しています。頭皮を保護する大切な役割もある皮脂ですが、紫外線を浴びると発生する活性酸素によって酸化が進み、頭皮の汚れとなる過酸化脂質に変わってしまいます。過酸化脂質で毛穴が詰まると、毛母細胞の働きも弱まるため、髪の成長にも大きく影響します。
ヘアカラーの色落ちが早まる
紫外線の影響で髪内部の染料が外に流れ出やすくなり、色落ちが早まったり、メラニン色素が分解されて赤茶っぽく変色することがあります。メラニン色素は紫外線から髪を守る役割も担っていますが、ヘアカラーを施した髪はメラニン色素を抜いて染料を入れているため、そもそもダメージを受けやすい状態。ヘアカラー派は特に、万全な紫外線対策が必要といえます。
髪と頭皮を守る
メソッド
気象庁のデータによると、紫外線は例年3月ごろから急激に強くなりはじめ、4月〜9月の紫外線量は年間の約7〜8割を占めるのだとか。ノーガードでの外出で、すでに髪と頭皮が悲鳴を上げているかもしれません。今すぐ対策を!

帽子をかぶる
盛大に降り注ぐ紫外線を物理的にブロックする帽子は、ダメージを防ぐ効果が期待できる筆頭アイテム。製法や素材にもよりますが、黒や紺などの濃色は紫外線を通しづらいと言われています。UVカット率99%以上で、なるべくつばが広いタイプを選ぶとよいでしょう。
日傘を利用する
帽子だとヘアスタイルの崩れが気になるという人は、広範囲をカバーできる日傘を。こちらもUVカット率99%以上を選びましょう。UVカットコーティングを施しているものは、雨や水濡れ、長期使用でUVカット効果が薄れてしまうので、定期的に市販のUVカットスプレーを吹き付けるか、2〜3年に一度は買い替えて。
髪の分け目をこまめに変える
いつも同じところで髪の分け目を取っていると、紫外線ダメージがそこへ集中し、分け目が広がったり薄くなったりするおそれも。こまめに変えることが頭皮を守る対策になります。合わせて、皮脂や汗に強い頭皮専用のUVスプレーを使用すると◎。近所へ出かけるくらいであれば、分け目や生え際に顔用の日やけ止めを使ってもOKです。
「朝シャン」は避ける
寝汗をかきやすい夏は「朝シャン」が習慣、という人も多いのでは?しかし髪が半乾きの状態で出かけると、紫外線のダメージを受けやすくなります。また、シャンプーは頭皮の保護に必要な皮脂まで流してしまい、その再生には5時間ほどかかるため、無防備な頭皮を紫外線にさらすことに。シャンプーは基本夜のみとし、朝、どうしても気になる場合は、お湯でさっと流すだけにして、よく乾かしてから出かけましょう。
夏のレジャーは要注意
健康な髪のpH(ペーハー)は4.5〜5.5の弱酸性。ところが、海水に浸かった髪はpHバランスが乱れてアルカリ性に傾き、キューティクルが開きやすい状態になります。そこに紫外線が加わると、ダメージが加速度的に進んで最悪のコンディションに…!海で泳ぐ際は、おだんごヘアなどにして紫外線や海水に接する範囲をできるだけ小さくする工夫を。アルカリ性の温泉も同様です。
うるおい&ツヤ
回復ケア
気を付けていても、うっかり紫外線を浴びてしまうことはあるものです。ダメージの進行を食い止めるには、早めのアフターケアがとても重要。夏場の髪のお手入れが、秋以降のうるツヤ髪を育む土台になります。

シャンプーは優しく丁寧に
紫外線を浴びた頭皮や髪はとてもデリケートな状態。洗浄力の高いシャンプーは避け、アミノ酸系などの刺激が少ないタイプをよく泡立て、優しく丁寧に頭皮を洗います。頭皮がヒリヒリするほど日やけしている場合は、保冷剤などを使ってまずしっかり冷やして炎症を鎮め、洗髪は症状が落ち着いてからにしましょう。
髪内部のケラチン線維を補うケアを
ダメージを受けた髪には、補修成分を含んだトリートメントやヘアマスクで、内側から修復・保湿するケアがとても重要。加水分解ケラチンなど、ケラチン由来成分が配合されているトリートメントがおすすめです。
冷風でキューティクルを引き締める
シャンプー後はタオルで髪を包みこむようにやさしくタオルドライ。暑い夏はドライヤーを敬遠しがちですが、髪が濡れている時間が長いと内部の栄養が流れ出しやすくなるので、できるだけ早く乾かしましょう。温風の後、冷風に切り替えることでキューティクルが引き締まり、ツヤのある髪に仕上がります。
週1回のオイルクレンジングで
毛穴ケア
過酸化脂質が詰まりがちな夏の頭皮は、週1回のスペシャルケアを。ホホバオイルなどの植物性オイルを乾いた頭皮になじませ、やさしくマッサージしながら、毛穴の奥の古い皮脂や汚れを浮き上がらせます。その後にシャンプーを。頭皮が軽く、スッキリするのが実感できるはず。
抗酸化作用のある食べものを摂る
紫外線によって発生する活性酸素は細胞をサビつかせ、さまざまな老化現象につながっていきます。すこやかな髪と頭皮のために、インナーケアも取り入れて。ブロッコリーやパプリカといった色の濃い野菜、ローズヒップやハイビスカスのハーブティーなど、抗酸化作用のある食べ物や飲み物を意識して摂るとよいでしょう。
齊藤さんからのメッセージ
日々の影響は小さくても、あるとき、蓄積されたダメージが一気に現れてしまうのが、紫外線の怖いところ。「今日くらいいいか」「曇っているから大丈夫」ではなく、コツコツと対策を継続することがとても大切です。
例年、秋になると髪悩みのご相談を受ける機会が多いのですが、その大半は、夏に受けた紫外線ダメージが原因です。美髪を目指すなら今が肝心!夏こそ意識して、髪の紫外線対策を実践していきましょう。
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