姿勢も腰痛も改善!腸腰筋を目覚めさせる

ある研究機関の調査によると、日本人が1日に座っている時間は平均7時間で、世界20カ国中最も長いのだそう。座りっぱなしの時間が長いと、体の要である腸腰筋が縮んで硬くなり、腰痛などの不調を引き起こす要因になることも。今回は、柔軟美®トレーナーの村山 巧さんに、腸腰筋の働きや、柔軟性を高めるストレッチメソッドについてうかがいました!

今村大祐さん
Profile
村山 巧さん

ストレッチデザイン/柔軟美®トレーナー。会社員時代、趣味で始めたアイススケートを通じて体の柔軟性を高める重要性を痛感し、柔軟ストレッチを追究。その後、フリーのストレッチトレーナーとして活動を開始、その効果の高さで全国からオファーが寄せられるようになる。現在は国内外での出張レッスンのほか『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』(かんき出版)など著書も多数刊行。

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CHAPTER 1
知らなかった!

腸腰筋ってこんな筋肉

腸腰筋は、背骨と大腿骨をつなぐ大腰筋と、骨盤と大腿骨をつなぐ腸骨筋で構成されるインナーマッスル。普段意識する機会は少ないものの、上半身と下半身をつなぐ重要な役割を果たしています。

姿勢や歩行に影響を与える

腸腰筋は太ももの付け根から腸の裏側を通って背中までつながっており、体の中心で腰や骨盤を支えています。姿勢の保持やひざを上げ下げする役割を持ち、座る・立つ・歩くといった動きに影響を与える筋肉のひとつです。

座りっぱなしの人は要注意

腸腰筋は意識して動かさないとすぐに硬く縮こまってしまい、腰痛など腰回りの不調を引き寄せやすい状態に。特に、デスクワークなどで長時間座りっぱなしの人は血流が滞り筋肉も伸ばしづらくなるので、こまめなケアが大切です。

腸腰筋の柔軟性チェック

仰向けに寝て、腰骨の少し内側から下のくぼんでいる場所(上記画像参照)を指で押します。指がすっと入っていくようなら問題なし。下敷きが入っているように硬く、指が全く入っていかない場合は、柔軟性が失われている可能性大です。

「鍛える」よりも「柔らかく」

腸腰筋の機能を最大限に発揮するためには、鍛えるのではなく、硬くなった筋肉の緊張をゆるめて伸ばし、動きやすい状態に整えることが重要。縮こまった腸腰筋をストレッチで解放し、柔軟性を高めていきましょう。

CHAPTER 2
不調が改善

腸腰筋を整えるメリット

肩こりや腰痛などの不調は、生活習慣から生じる体のゆがみに起因するケースが少なくありません。体幹の安定に寄与する腸腰筋がしっかり働くように整えることで、こうした不調を遠ざけるだけでなく、スタイルアップも期待できます。

姿勢改善

腸腰筋が硬いと、前ももがお腹方向に引っ張られるため反り腰の原因になることも。柔軟性を高め、本来の機能を発揮できるようになると骨盤の位置が安定し、正しい姿勢をキープしやすくなります。

腰痛予防

仰向けの体勢でひざを曲げないと寝られない人は、腸腰筋が固まっているサインかも。ひざを曲げて寝ることでさらに腸腰筋の衰えが進み、腰痛を引き起こしやすくなる悪循環に。腰痛の予防や改善には、ゆるめて伸ばすストレッチが効果的です。

ポッコリお腹の解消

反り腰は下腹部が前に押し出される形になるため、「ポッコリお腹」を招く原因になります。姿勢が改善され、内臓が正しい位置に保たれるようになれば、お腹回りがスッキリしてスタイルアップも期待できます。

ウォーキングの質が上がる

ひざの上げ下げがスムーズになり、股関節の可動域も広がって、以前よりも楽に歩けるようになります。歩き姿も美しくなり、質の高いウォーキングが可能に。

便秘解消

腸腰筋が柔らかくなると滞っていた血流が改善し、副交感神経が活性化されて腸のぜん動運動を促すため、便秘解消が期待できます。

CHAPTER 3
ゆるめて伸ばす!

腸腰筋ストレッチ

硬く縮こまった腸腰筋をいきなり伸ばそうとするのは逆効果!柔軟性を高めるには、まず筋肉をゆるめておくことが大切です。座りっぱなしの時間が長い人は、仕事や家事の合間などにゆるめるケアを行い、1日の終わりに気持ちよく伸ばすストレッチを。筋肉がほぐれて血流が改善し、睡眠の質も向上します。

職場や外出先で《ゆるめる》

  1. ①イスに座り、片方の腰骨の少し内側から下のくぼんでいるところを、親指の腹で斜め45度内側に押さえつける
  2. ②そのままひざを大きく回す(内回しでも外回しでもOK)。できる回数でよいが20回程度を目安に。反対側も同様に行う

ワンポイント

  1. ・ひざは曲がったまま回しても構いませんが、立った状態(ひざが伸びた状態)で行うと負荷が上がり、効果が高まります。
  2. ・呼吸を止めずに行いましょう。
  3. ・大きく動きづらいときは、グーにした手で①の場所をトントンと叩くだけでもOK。筋肉がゆるみやすくなります。

おうちで《ゆるめる》

  1. ①テニスボールか、結び目を作ったバスタオルを用意し、脚の付け根に当たるようにしてうつ伏せになる。30秒ほど体を左右にゆらして筋肉をほぐす
  2. ②うつ伏せのまま30秒ほどひざを曲げ伸ばしする。反対側も同様に

ワンポイント

  1. ・テニスボールで刺激が強すぎる場合は、バスタオルを使用しましょう。
  2. ・ひざの曲げ伸ばしによって筋肉への刺激はより深くなりますが、①のステップのみでもOKです。

1日の終わりに!《腸腰筋ストレッチ》

  1. ①右脚のひざ下にクッションを置き、ひざ立ちの体勢になる。右ひざを後ろに引き、足先を寝かせる。上体は起こしておく
  2. ②立てたひざに両手を置いて上体を支えながら、重心を左脚にかける。同時に右の太もも(伸ばす方)を床に近づけ、30秒ほどキープ
  3. ③反対側も同様に行う

ワンポイント

  1. ・両手をひざに乗せる体勢がつらい場合は手を床についてもOK(イラスト参照)。背中は丸まらないように。
  2. ・前のひざを曲げすぎるとストレッチ効果が半減します。角度は90度をキープして。
  3. ・ストレッチは筋肉がほぐれやすい入浴後、寝る前に行うと効果的です。朝、寝起きは筋肉を傷める可能性があるので避けましょう。
  4. ・強い痛みや違和感がある場合は控えましょう。

村山さんからのメッセージ

村山さんお風呂に入る、歯を磨く、顔を洗う…こういった無意識に行っている日常の動作と同様に、生活の一部としてストレッチができるようになればこっちのものです!意気込んで行うのではなく、気づいたタイミングで体を動かす。それが習慣化すれば、生活の質は確実に上がります。皆さんが以前よりも体が動きやすくなった、楽になったと感じられるようになれば、これほどうれしいことはありません。ぜひ、ご自身の体の変化を楽しんでください。

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