料理を見た目でも美味しく!キレイな盛り付け&取り分けテクニック

普段の食卓はもちろん、ホームパーティーなどのおもてなし料理では、盛り付けにもこだわりたいもの。料理を美しく、美味しそうに見せるテクニックを知っておくと、簡単におもてなし料理に変身!また、歓送迎会シーズンの会食時にも役立つ、スマートな料理の取り分け方も覚えておきたいところ。今回は、料理家のサルボ恭子先生に、料理のキレイな盛り付け方と取り分け方を教えていただきました。

東京出身。老舗旅館の長女として生まれ、料理家の叔母に師事したのちに渡仏。パリ有数のホテル「オテル・ド・クリヨン」に勤めながら、郷土料理に魅了され、帰国後独立。料理研究家のサポートを経て、現在は料理教室を主宰。フランスで出会った味、自分のベースとなる代々受け継いできた家庭の味を伝え続ける。

CHAPTER 1
「気が利いてる」と思われる!

知ってると差が付く
取り分けのルール

ゲストを料理でおもてなしするときや、パーティーなどで料理を取り分けるとき、何気なく取り分けているよりも、少しの気遣いがあると相手もうれしい気持ちになります。大きなお皿から料理を取り分けるときに喜んでもらえる、取り分けのおもてなしポイントを紹介します。

苦手なものやお腹の具合をヒアリング

参加者の中には、お腹がペコペコな方もいれば、あまりたくさん食べられない方もいるはずです。最初に相手のお腹の具合や苦手なものをさりげなく聞いておくと、料理を取り分けるときの参考になります。

料理を手渡す順番に気遣いを

料理は、前菜から先に取り分けて渡してあげるといいですね。前菜はメイン料理がさらに美味しくいただけるよう考えられて作られているものも多いです。前菜、サラダ、魚料理、肉料理と、コース料理のような順番で食べてもらうことも、おもてなしのひとつになりますね。

すべてを取り分けてしまわないこと

次の料理があるからと、すべてを取り分けてお皿を空にしなくても大丈夫。まだその料理を味わいたい方もいるかもしれません。テーブルにスペースを作りたいときは、小さいお皿に移すなどしてコンパクトにするといいですよ。

まだまだある!
取り分けのルール

温かい料理はタイミングを見て

温かい料理は冷めないうちに食べて欲しいものです。まだお皿に料理が残っている方などは、タイミングを見計らって取り分けましょう。

お酒を飲む人、飲まない人をチェック

お酒を飲む方には取り分けはゆっくり目に、飲まない方には料理が来たらさりげなく声をかけるなど、少し気遣いがあると相手も気持ちよく料理を味わえます。

遅れてきた人のことも考慮する

どうしても遅れてしまう方は必ずいます。遅れてくる方用に、あらかじめ料理を別皿に取り分けておくと安心です。

サルボ恭子先生からの
ワンポイントアドバイス

あまり気を遣い過ぎると、かえって相手がかしこまってしまうものです。会食やパーティーでも、率先して取り分けて手渡しするだけではなく、相手の反応を見て、まずは会話を楽しむなど、コミュニケーションを優先しながら、取り分けるタイミングを見極めましょう。

CHAPTER 2
取り分ける機会多数!

サラダとパスタの
盛り付け&取り分け

サラダとパスタは、ホームパーティーでもお店での会食でも取り分ける機会が多い料理です。サラダとパスタのステキな盛り付け方とキレイな取り分け方法をご紹介します。

サラダの「盛り付け」

サラダを美味しく見せるには、べチャッと平らに盛るより、ふわっと立体感がある山高に盛り付けるといいですね。具材の彩りもバランスよく見せながら、ある程度深さのある器で、中央にボリュームを出して盛り付けましょう。

【 POINT 】

ドレッシングやトッピングが均等に混ざり合うように盛り付けておくと、取り分けやすくなります。

サラダの「取り分け」

ドレッシングやトッピングが混ざっていなければ、まず混ぜましょう。次に、葉物や大きい野菜をお皿に取り、その上に色の薄い野菜、最後に色の濃い野菜を乗せるとキレイに取り分けられます。

【 POINT 】

たくさん盛ろうとすると、取り分けづらく食べづらいので、少量ずつお皿に取りましょう。

パスタの「盛り付け」

主食であるパスタは、たっぷりと大皿盛りに。のっぺりと平面に盛ると、なぜかのびたように見えてしまうので、トングなどを使って、ねじりながら立体的に盛り付けるとより美味しく見えます。具材のバランスに気を付けて、ソースは後から回しかけましょう。

【 POINT 】

2つの味のパスタをひと皿に盛り付けても楽しいです。ただし、味が混ざっても美味しいものを選びましょう。

パスタの「取り分け」

ソースがかかっているパスタはよく混ぜましょう。次に、パスタだけをお皿に取ります。少しずつ2~3回に分けて、山高に取り分けます。最後に、取り分けたパスタの上に具材を乗せてソースを回しかけます。

【 POINT 】

お皿にたくさん盛り過ぎないように。たくさん食べたい場合は、複数回取り分けて、きちんと温かく(あるいは冷たく)いただきたいですね。

サルボ恭子先生からの
ワンポイントアドバイス

1人ずつに盛られた料理は、テーブルに座って食べるときに見える位置が正面です。しかし、サラダやパスタなど大人数で取り分ける料理は、四方のどこから見ても美味しく見えるように盛り付けたいですね。正面を決めずに、横からの位置でも縦からの位置でも、同じように美味しく見えるように盛り付けましょう。

CHAPTER 3
スマートに取り分けたい!

塊肉と一尾魚の
盛り付け&取り分け

メインディッシュとして人気のある、ローストビーフやアクアパッツァ。見栄えもよくて食べ応えも十分ですが、盛り付けや取り分けが少し難しそう…。ここでは、塊肉や魚一尾を使った料理の上手な盛り付け&取り分け法をご紹介します。

塊肉の「盛り付け」

塊肉は、取り分けやすいように数枚カットして並べつつ、焼いた姿もしっかり見せてあげると、ゴージャス感もしっかりアピールできます。大きい木のボードに盛り付けると、カッティングボード兼お皿として利用できます。

【 POINT 】

お皿の余白を埋めるように、塊肉と数枚カットしたお肉の間にルッコラなど緑の野菜を添えると、全体の色彩が引き締まります。

塊肉の「取り分け」

まず最初に、付け合わせの野菜をお皿の後ろに置いて、お皿の中央にお肉を取ります。ナイフとフォークを使うときには、大きめに取り分けてボリュームを楽しんでもらうのもいいですね。お箸を使うときは食べやすい大きさにして取り分けましょう。

【 POINT 】

レストランなどでは、お店の方にカットや取り分けをお願いしてみるのも一案です。

一尾魚の「盛り付け」

例外もありますが、和食の一尾魚は頭を左、腹を手前に盛り付けるのが基本。大根おろしや季節のあしらいは手前に。洋食の焼いた魚は、皮目を上にして盛り付け、ソースは皮目をよけてかけます。洋食の蒸した魚は、皮目を下にするか皮を取りましょう。洋食の魚は、付け合わせは後ろ、ソースが手前が基本です。

【 POINT 】

和食の一尾魚に植物の葉などのかいしきを敷くと、ぐっとおもてなし感が高まります。

一尾魚の「取り分け」

一尾魚の取り分けにはスプーンとフォークが便利。アクアパッツァの場合は、まずは香草をよけて、盛り付けるお皿の後ろに具材を取り、魚の頭、背びれ、尾びれを切り離します。上の半身をお皿に取り分けたら背骨を取り、下の半身もお皿に取ります。最後に、煮汁をかけて、香草を戻します。

【 POINT 】

お肉と同様、先に付け合わせのお野菜や具材などをお皿に取ってから、一尾魚を切り分けましょう。

サルボ恭子先生からの
ワンポイントアドバイス

塊肉や一尾魚をお皿に取り分けると、平面的な印象になる場合もあります。そんなときは、お皿の後ろに取り分ける付け合わせの野菜やフライドポテトなどでボリュームと立体感を出すと、美味しく見せることができますよ。

CHAPTER 4
こんなとき、どうすればいいの?

盛り付け&取り分け
Q&A

盛り付けと取り分けについて知っていくと、「おもてなしがしてみたい!」と楽しみになりませんか?実際にホームパーティーを開いたり、会食に参加する前に、気になることを解決しておきましょう!

Q
我が家のおもてなし料理、どんな器があるといい?
A
使い回しが利いてシンプル、重ね使いができる器があると便利
アスパラガスや焼き魚など、長いものをそのまま盛り付けることができる長角プレートや、違うお皿の下に敷いて重ね使いができたり、大皿盛りもできるオーバル(楕円形)プレート、少し深さのある取り分け用の銘々皿(めいめいざら)など、シンプルで白い器がおすすめです。たっぷり盛り付けられる大き目の木のボウルもあると便利です。
Q
ホームパーティーで使えるキッチンツールは?
A
盛り付けにも取り分けにも使える道具を
トングと盛り付け用スプーン&フォークは、大小持っていると本当に便利。先が細く盛り付けやすい盛り付け箸も。汁気を切って盛り付けができる穴あきレードル、パレットナイフは製菓小物ですが、料理をすくって盛り付けたり取り分けたりするのに重宝します。
Q
和食のおもてなしで気を付けることは?
A
お箸での食べやすさに気を配って
和食はお箸でいただくことが前提なので、基本的にはそのまま口に入れて食べられるように。大きいものは切り分けたり、お箸でほぐせるように盛り付けましょう。大皿で出す場合は、とり箸も盛り付けのひとつと捉えて美しく添えましょう。
Q
洋食のおもてなしで気を付けることは?
A
お皿の彩りは食べられるものを
和食の季節のあしらいとは違って、洋食で添えられるものはすべて食べられることが前提です。彩りにはハーブや野菜を。また、ナイフとフォークで食べられる料理が基本ですが、骨付き肉やお魚は取り分けて出すか、フィンガーボールやお手拭きを添えましょう。

サルボ恭子先生からの
メッセージ

我が家での食事会でも、何かのパーティーや会食でも、過剰におもてなししようとしてしまうと、相手に気を遣わせたり、心配させたりしてしまうことも。
美味しく見えるように、という盛り付けや取り分けは、ちょうどよいおもてなし。
美味しそうな料理が並ぶと、会話も弾みますよね。
本来はみんなが集って楽しく語り合うことがいちばん大切。
頑張り過ぎて「やっぱりホームパーティーは大変…」なんてことにならないためにも、肩の力を上手に抜いて自分自身も楽しんでください。

オススメ記事