毎日笑顔ですごすには、幸せホルモンを増やすべき!

わけもなくイライラしたり落ち込んだり、女性の心身はホルモンのゆらぎに左右されやすいもの。そんなとき味方になってくれるのが「幸せホルモン」と呼ばれる“オキシトシン”です。オキシトシンを増やして、自分らしいハッピーな毎日を!今回は医師の松島幸恵先生に、オキシトシンの特徴や増やし方についてうかがいました。

Profile
松島 幸恵先生

精神科専門医、産業医、精神保健指定医。聖マリアンナ医科大学卒業後、複数の都内精神科でキャリアを積み、池袋オリーブメンタルクリニックを開院。患者と「ともに悩み、ともに喜び、ともに生きる」をモットーに日々の診療に当たる。産業医として都内企業でも勤務。

CHAPTER 1
教えて!

オキシトシンって
どんなホルモン?

主に脳の視床下部から分泌されるオキシトシンは、もともと出産や母乳の放出に関わるホルモンとして知られていました。研究により神経伝達物質などとして中枢神経や末梢神経に幅広く働きかけ、心身にさまざまな作用をもたらすことがわかっています。

心が安らぎ、幸せな気分になる

大好きな人とハグしたり、かわいい動物を見つめていると幸せな気持ちになりますよね。オキシトシンは人が愛情を感じたときに分泌され、穏やかな幸福感をもたらします。オキシトシンが「幸せホルモン」「愛情ホルモン」と呼ばれる理由です。

信頼関係の中でつくられる

オキシトシンは、信頼関係で結ばれた相手や集団の中で、相互に分泌されます。例えばお母さんが赤ちゃんを抱きしめたときには母子双方に、また、飼い主が犬を見つめている間、飼い主だけでなく犬からも分泌されていたという研究結果も報告されています。ほかにも気のおけない仲間と過ごす時間など、連帯感が高まる場で分泌されやすくなります。

ストレスホルモンの分泌を抑える

ストレスを感じた時に分泌されるホルモン「コルチゾール」は、ストレスから身を守る働きをする一方、過剰に分泌されると体に悪影響を及ぼします。オキシトシンはこのコルチゾールの分泌を抑え、過剰なストレスによる体への反応を和らげてくれる作用があります。

「ドーパミン」との違い

幸せを感じる神経伝達物質としては「ドーパミン」もよく知られています。買い物で思いっきり散財すると気分がスッキリしませんか?こうした「ドキドキしてしびれるような幸せ」はドーパミンの作用です。ただ、中には買ったものを開けずに長い間放っておく人がいるように、ドーパミンによる幸せは一時的で飽きやすい一面も。対してオキシトシンは「しみじみと感じる幸せ」。心が癒やされ、精神の安定が図れます。

CHAPTER 2
心も体もうれしい!

オキシトシンが増える
メリット

オキシトシンには幸せを感じやすくなるほかにも、さまざまな効果が確認されています。どのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

信頼感や共感が生まれる

オキシトシンは良好な対人関係を結ぶ上でも効果を発揮します。人に親切にすると、された人のオキシトシン濃度が上昇します。さらに相手に親切を返すことによって相互に信頼感が生まれ、仲間意識が向上します。

記憶力が高まる

記憶力や学習能力を高める働きを持つこともわかってきています。近年の研究では、オキシトシンがアルツハイマー型認知症の神経活性障害を改善する可能性も示唆されています。

ストレスが減少する

オキシトシンの分泌によってストレスレベルが低下し、過剰に反応していた心身が落ち着いて穏やかになります。ストレスは肌トラブルなどの原因にもなるだけに、美肌を保つためにも重要な効果といえそうです。

太りにくくなる

オキシトシンには食欲を抑制する作用があることが報告されています。むやみな間食やドカ食いがなくなり、食事量をコントロールできるようになることで太りにくい体になります。

CHAPTER 3
すぐ試したい!

幸せホルモンの増やし方

オキシトシンの分泌を増やすには、愛情を感じることと、皮膚からの心地よい感覚が重要なポイント。ハッピーな毎日を送るために、ぜひ取り入れて!

パートナーやペットと触れ合う

信頼できるパートナーや子どもとのスキンシップは、オキシトシンの分泌にとても効果的。心を「いま」の瞬間に集中させて相手を抱きしめてみて。自分を自分で抱きしめるセルフハグでも、ポジティブな効果が期待できます。また、ペットも安らぎを与えてくれる大切な存在。撫でたり一緒に遊ぶことで分泌量が増加します。

マッサージをする

誰かにしてもらっても自分で行ってもOK。セルフケアとして行うなら、好きな香りのボディオイルやクリームを使って、丁寧にマッサージしてみましょう。コツは自分をいとおしみながら、マッサージの過程そのものを楽しむこと。ストレス解消のツボと呼ばれる足三里(ひざの外側から指4本分下のくぼんだところ)などを押してみるのもおすすめです。

感動的な映画を観る

ストレスや不安を感じるときは、心を動かされるような映画に没入してみるのもいいでしょう。感動はオキシトシンの分泌を促し、モヤモヤした気持ちも浄化してくれます。

肌ざわりのいいものに触れる

ぬいぐるみやタオルケットなど、ふんわりモフモフしたものがあるとつい触れたくなりますよね。なんだかほっとする、柔らかく肌ざわりのよいものに触れることで、心が癒やされ安心感が得られます。

「感謝日記」をつける

うれしかったこと、感謝したいことを書き留める行為は、幸せを感じるためにとても有効な手段。内容は「よく晴れて久しぶりに布団が干せた」「店員さんがドアを開けてくれた」といった小さなことでいいんです。「感謝することがない」という人も、続けていくうちに日常の中で気づくことが増えていくはず。

感謝を伝える

誰かに感謝の気持ちが芽生えたら、書き留めるだけでなく伝えてみてください。双方のオキシトシンレベルが上がるだけでなく、相手との間に信頼が生まれ、関係性もさらによくなります。感謝されて嫌な感情を持つ人はまずいません。相手に気を遣って話しかけるのをためらったり、照れくさくて伝えられないという人も、自信をもってコミュニケーションをとってみて!

松島先生からのメッセージ

ここしばらく先を見通しづらい日々が続き、誰もが漠然とした不安を抱えていると思います。こうした不安にも、オキシトシンは役に立つはず。落ち込んだ時はパーッと騒いだり、自分へのご褒美を奮発したりしがちですが、身の回りの小さな幸せに気づくことでストレスも減り、心が安定します。自分を、周囲の大切な人たちをいとおしむ気持ちを持ちながら、近くにある幸せを探していきましょう!

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