最近「抜け毛や白髪が気になる……」と感じることはありませんか?秋は、夏に浴びた紫外線ダメージの蓄積や気温低下による血行不良など、頭皮環境が悪化しやすい季節。今回は「ヘッドスパのゴッドハンド」と称される理容師の辻 敦哉さんに、頭皮と髪の悩みの関係や、頭皮の血流を促し、健康な髪を育むセルフマッサージについてうかがいました!

- Profile
- 辻 敦哉さん
- > 公式サイト
理容師、ヘッドスパ専門店「PULA」代表。2006年よりヘッドスパ領域に本格的に取り組み始め、2011年に独立、ヘッドスパ専門店「PULA」を創業。予約の取れないサロンとして評判を呼び、独自の技術やメソッドを「プーラ式ヘッドスパ」として体系化。現在は依頼に応じた施術のほか、後進の育成やメディア出演など幅広く活躍。『「髪が増えるしくみ」から考案 頭皮が蘇るすごいマッサージ』(アスコム)ほか著書も多数。
髪の悩みと頭皮の関係
抜け毛や白髪、薄毛といった髪の悩みは、遺伝や年齢のせいにしてあきらめてしまいがち。ですが、それらは要因のひとつに過ぎず、髪が育つ土台である頭皮の状態が大きく関係しているケースも少なくありません。

「遺伝」と「環境」の関係
白髪や薄毛などの髪悩みは、生まれ持った体質(遺伝)に後天的な環境要因が加わることで発生します。遺伝が「コップ」だとしたら、環境要因はそこに溜まっていく「水」のようなもの。コップの大きさは人によって違い、水があふれてしまう(髪悩みが発生する)タイミングも異なります。言い換えれば、小さなコップしか持っていなかったとしても、正しいケアで環境要因を増やさないようにすれば、健康な髪を育み、「老け髪」の進行を遅らせることが可能になります。
頭皮環境に影響するのは?
「後天的な環境要因」には、生活習慣の乱れや偏った食事、頭皮環境の悪化などが挙げられます。なかでも頭皮は、間違ったケアや過度な刺激によって、知らずしらずダメージを与えていることも。
紫外線
髪だけでなく頭皮にとっても大きな刺激となり、乾燥による常在菌バランスの乱れやターンオーバーの乱れを引き起こす要因になります。
水質
水道水に含まれる残留塩素は、その酸化・殺菌作用で水の安全性を保っていますが、頭皮には刺激となる場合があります。塩素を低減するシャワーヘッドに交換するなど、毎日浴びる水を見直すことも、頭皮へのダメージ軽減につながります。
シャンプーの選び方
シャンプー剤に含まれる成分の一部は、多くの場合しっかり洗い流しても微量が残留するため、頭皮に残ってもよい、刺激とならない成分のものを選ぶことが重要。着色されていない、透明か半透明のシャンプーがおすすめです。
トリートメント・コンディショナーの使い方
髪用のトリートメントやコンディショナーは、毛髪の補修や、今の髪の質感をよくするためのもの。これを頭皮につけると残った油分が酸化し、頭皮のゴミとなって蓄積されます。一方、頭皮用の商品は、これから生える髪を健康にすることを目的としています。髪のケアと頭皮のケアは別ものと考え、髪用のトリートメントは頭皮につけないようにしましょう。
湯温
40℃以上の高い湯温で髪を洗うと、必要以上に皮脂が奪われてしまい、頭皮が乾燥して常在菌のバランスを乱す原因になります。シャンプーは37〜39℃の湯温を目安に。
ヘアカラー(白髪染め)
ヘアカラー剤に含まれるジアミン(酸化染料)は、頭皮のかぶれやかゆみなどのアレルギー反応を引き起こすことがあります。ヘアマニキュアは髪にやさしいといわれていますが、頭皮に付着すると色がしばらく残り、落としづらい一面も。ジアミンフリーのカラー剤を使用したり、美容院では薬剤を頭皮につけず、根本ギリギリで塗布する施術(通称「マニキュア塗り」)を依頼するなど、薬剤や塗り方を変えるだけで頭皮への負担も軽減します。
血流不足
上記のような外的刺激に加え、頭皮の血流不足も「老け髪」の大敵といえます。血流が悪くなると血管の機能が低下し、全身のすみずみに栄養や酸素を運ぶ毛細血管に血液が流れにくくなります。その結果、髪をつくり出す毛根に十分な栄養を届けることができず、白髪や薄毛を招く要因に。
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頭皮の状態チェック
すこやかな髪は、健康な頭皮でしか育ちません。まずは頭皮の状態をチェックして、適切なケアにつなげていきましょう。頭皮の色は、もっとも血流が届きにくい頭頂部で確認を。誰かに見てもらうか、写真を撮ってチェックするとよいでしょう。

頭皮の健康状態
チェック
- ①利き手の親指とくすり指(男性は利き手と逆の指)で、おでこの生え際をつまむことができない
- ②口を「ウ」の形にすぼめたときに、上唇が鼻につかない
- ③首の付け根に痛みがある
- ④首の付け根に赤みや湿疹がある
- ⑤頭皮の色が赤い、もしくは赤茶色
★上記のうち1つでも当てはまる項目があれば、頭皮ケアを見直してみて!
- ▶①に当てはまる人は血行が悪く、頭皮がかなり硬くなっている状態にあると考えられます。
- ▶②は食いしばりグセなどで表情筋にコリが生じている可能性が。顔と頭皮は1枚の皮膚でつながっているため、表情筋のこわばりが頭皮にも影響している可能性があります。
- ▶③、④は血行が悪くなっているサイン。太い血管が通っているのはもみあげあたりまでで、そこから上はほぼ毛細血管のため、血流が滞り老廃物が溜まっている可能性があります。
- ▶⑤の頭皮の色は、信号で例えるとわかりやすいでしょう。青白い色は「健康」のサイン、黄色は古くなった皮脂の酸化が進んでいる「注意」、赤は血流不足や外的刺激の影響が表面化した「危険」の状態。そこからさらに悪化すると赤茶色になり、頭皮のトラブルや老化がかなり進んでいる段階と考えられます。
血流改善マッサージ
髪に必要な栄養を届けるには、頭皮の血流を改善するマッサージが効果的です。ポイントは、頭皮のみをケアするのではなく、体の川下から滞っている部分を順にほぐすこと。効率的に血流を促すことができ、顔のもたつき解消も期待できます。簡単なので、デスクワークや家事の合間に取り入れてみて。
①足裏ほぐし
ゴルフボールやマッサージボールを足裏に置いて軽く体重をかけ、片足につき30秒ほどコロコロと転がします。
〈ポイント〉
足裏の中心には、髪の成長と関わりが深いとされる「湧泉」というツボがあります。また頭周りのみをマッサージすると熱が上半身に溜まりやすくなるため、まず足裏からほぐしていきます。
②大胸筋ほぐし

左右の人差し指と中指で鎖骨をはさむように手を当てたまま、肩甲骨から動かすイメージで、前から後ろへひじを大きく回します。肩が上がらないように注意して。つらい場合は、指先が鎖骨に触れる程度でもOKです。同様に後ろから前にも回し、それぞれ30秒ずつ行います。
〈ポイント〉
絡まった髪をいきなり上からとかしてもほぐれにくいように、頭皮よりも先にこわばりのある肩や胸の筋肉をゆるめることが大切。また、わきの下にある大きなリンパの集結地点(腋窩リンパ節)に老廃物がスムーズに流れるよう、ゆっくり大きく回すのがコツです。
③胸鎖乳突筋・僧帽筋ほぐし

両手を体の横に下ろしたまま、30秒かけて首を大きく1周します。頭の重さを使ってゆっくり動かし、少しずつ角度を変えながら首の筋をストレッチ。元の位置に戻ったら逆方向にも1周します。
〈ポイント〉
頭を首の前から支える胸鎖乳突筋と、後ろから支える僧帽筋をゆるめます。グルグル回すのはストレッチにならず、首を傷める原因になるのでNG。「ゆっくり大きく」を心がけて。
④側頭筋・前頭筋ほぐし

机にひじをつき、両手の腹をこめかみ付近に当て、頭を預けながらゆっくりと30秒、前頭筋を押し上げます。次に、ひじをついた体勢のまま、指で円を描くように側頭部を30秒マッサージします。
〈ポイント〉
頭蓋骨とつながっていない前頭筋は、硬くなっていると顔の方向に下がり、たるみの原因になります。ぐーっと持ち上げる意識で行いましょう。また、硬くなった側頭筋は眼球の方向に引っ張られているので、元の位置に戻すイメージで。入浴中に行うなら、ひざを立てて座り、ひざの上にひじを置いてマッサージするとよいでしょう。
辻さんからのメッセージ
手軽にできる頭皮ケアなら、シャンプー前のオイルパックがおすすめです。ホホバオイルなどのキャリアオイルを20mLほど頭皮に塗布し、軽くマッサージして少し置きます。その後2回シャンプーして洗い流すと、蓄積した頭皮の酸化皮脂が取れやすくなりますよ。
遺伝や加齢の影響は少なくありませんが、日ごろのケアの地道な積み重ねが、髪悩みの解消につながることを僕自身が実感しています。完璧じゃなくてもOK。6割くらいの習慣で「継続する」ことを大切にしてみてください。
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